「安心と安全」が事業存続の鍵 第21回:完全出来高制の給与
全4回に分けて、未払い賃金がどうして発生するのか、また、未払い賃金を発生させないためにはどうすればいいかをお伝えしてきました。
賃金については、「労働時間」「時間給」という時間の視点から考えてきましたが、今回は、売り上げに連動する完全出来高制の給与について考えてみましょう。
会社と労働者は、雇用契約という「契約」で成り立っています。
契約は、お互いが納得すれば成立しますが、雇用契約においては、労働者が不利になる契約となる可能性があるため、労働者を保護する労働基準法などを順守した内容であることが求められます。
その中で賃金について次のことが定められています。
- 最低賃金 地域別・産業別に定められた賃金の最低基準(時間給)
- 割増賃金 時間外・深夜・休日の労働時間には割増賃金が必要
つまり、労働者に支払う賃金には、「時間」というモノサシが必要です。
完全出来高制は、売り上げに応じて報酬を支払う制度です。仕事のある時は、働けば働いただけの収入を得ることができ、従業員のモチベーションが上がる制度だと言われています。
半面、仕事がなければ売り上げはゼロとなり、割の悪い仕事であれば長時間働いても売り上げは伸びず報酬も増えず、モチベーションは下がります。
さらに、出来高制は労働時間に応じ、一定額の賃金の保障が必要となる制度です。また、会社の都合で休業(労働時間をゼロ)にすれば、休業手当の支払いが必要となります。
つまり、売り上げに連動した完全出来高制の給与はないことになります。
また、出来高給と言えども、出来高に要した全労働時間(時間外労働を含めて)で割り算して求めた時間あたりの賃金を計算し、時間外の労働時間については割増率を乗じて割増賃金を計算します。
労働時間と関係がないように見える出来高給(歩合給)でも、「時間」というモノサシが必要なのです。
ご意見・ご相談は、社会保険労務士事務所オフィス松本まで。
電話:03−6803−0580(受付時間:10:00〜19:00)
by office-matsumoto | 2010-09-03