「安心と安全」が事業存続の鍵 第26回:蓄積した疲労が事故誘発
今回取り上げるのは、脇見運転による死亡事故です。
【事故事例16】 トラックによる多重衝突事故
【事故の概要】
国道を走行中、信号待ちで停車している車列にノーブレーキ(時速55キロ)で追突。
追突した軽自動車を道路わきにはじき飛ばし、続いて前方のワゴン車に追突し乗り上げる。
追突されたワゴン車は更に前方のトレーラに追突した。
この事故で下敷きとなったワゴン車の6人のうち3人が死亡、3人が重傷。運転者および軽自動車の運転者が軽傷を負った。
事故当時、運転者は荷主に電話をかけるための停車場所を探して、脇見運転をしていた。
【事故に至るまでの運行状況および事故要因分析】
運転者は、事故当日の9日前から自宅に帰らず、連続して運行し、車内で寝泊りを繰り返していた。
また、事故前日の未明からの昼夜を問わない運行により、1日半の走行距離が約1200`に達しており、事故当日、運転者は相当な過労状態であったと推定される。これにより、注意力及び判断力が低下し事故を起こした可能性が考えられる。
なお、運送指示は荷主から直接、運転者に口頭で伝えられており、運行は運転者任せであった。
【労務管理面から問題点】
事業主は、運転者の指導及び監督を全く行っていないと考えられます。
運輸事業者には、運転者への安全・コンプライアンスに関する教育義務が課せられており、また、安全配慮義務に違反すれば、労基法・安衛法での罰則に加え、損害賠償の請求にもつながる可能性があります。
労務管理は従業員の安全を確保するだけでなく、リスク回避の面からも非常に重要です。
ご意見・ご相談は、社会保険労務士事務所オフィス松本まで。
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by office-matsumoto | 2010-10-12