「安心と安全」が事業存続の鍵 第32回:皆勤手当は必要か
平成22年の就労条件総合調査によると、「皆勤(精勤)手当」を支給する会社は減ってきているようです。
平成17年に37.2%の企業が皆勤手当を支給していましたが、平成22年では34.2%になっています。
その中で、運輸業は、54.7%の企業が皆勤手当を支給しています。
皆勤手当は、遅刻、早退、欠勤等を戒めるのが目的であり、「遅刻、早退等が3回で欠勤1日とする」、あるいは「遅刻1分でも支給しない」等と厳しく定義する会社もあるようです。
確かに頻繁な遅刻や急な欠勤は業務に影響が出ますから皆勤手当を設ける意味はあります。
しかし、更に勤怠に厳しくと、皆勤手当の金額を上げその分基本給を下げると問題になる場合があります。
「皆勤手当」は、残業代の計算や最低賃金の計算では賃金の扱いが異なります。
残業代の計算するときは、賃金に「皆勤手当」は含めます。
最低賃金を考えるときは、賃金に「皆勤手当」は含めません。
例えば、基本給が12万円、皆勤手当が5万円の場合、労働時間170時間であれば、割増賃金を計算する時給は、次の金額になります。
(12万+5万)÷170 = 1000円
時間外労働や、休日労働、深夜労働の割増賃金は、時給額を1000円で計算します。 しかし、最低賃金を計算するときは、計算の基になる賃金に皆勤手当は含まないので、
(12万)÷170 = 705円
地域別最低賃金が705円以下の地域では、最低賃金法違反になってしまいます。
賃金の支払の原則は、「ノーワーク・ノーペイ」です。
遅刻・早退・欠勤で働かない時間分は賃金を支払わなくても問題ありません。
しかし、月単位で金額を決めている場合は、「不就労時間分の賃金は支払わない」と規定する必要があります。
同調査によると、月給で「欠勤等による差引がない」企業の割合が運輸業は44.1%です。
勤怠を管理するのに皆勤手当は有効ではありますが、「不就労時間分は賃金を控除する」規定にしておくのも必要と言えます。
ご相談、お問合せはオフィス松本まで。
電話:03−6803−0580
by office-matsumoto | 2011-02-07