団体交渉の申し入れは広がるか
厚生労働省の「労使関係法研究会」が、労働組合法上の労働者性の判断基準を提示する内容の報告書を公表しました。
労働組合法は、労働者と使用者が「対等の立場」に立って交渉することを実現するために、労働者が、労働組合を組織し、集団的な交渉等を助成することを目的としています。
また、使用者が正当な理由なく、労働組合との団体交渉を拒むことを不当労働行為として禁止しています。
労働組合法上の「労働者性」については、次の要素から総合的に判断されます。
- (1)基本的判断要素
- ●事業組織への組み入れ
労務供給者が相手方の業務遂行に不可欠ないし枢要な労働力として組織内に確保されているか - ●契約内容の一方的・定型的決定
契約の締結の態様から、労働条件や提供する労務の内容を相手方が一方的・定型的に決定しているか - ●報酬の労務対価性
労務供給者の報酬が労務供給に対する対価又はそれに類するものとしての性格を有するか - (2)補充的判断要素
- ●業務の依頼に応ずべき関係
労務供給者が相手方からの個々の業務の依頼に対して、基本的に応ずべき関係にあるか - ●広い意味での指揮監督の下に労務提供、一定の時間的場所的拘束
労務供給者が、相手方の指揮監督の下に労務の供給を行っていると広い意味で解することができるか、労務の提供にあたり日時や場所について一定の拘束を受けているか - (3)消極的判断要素
- ●顕著な事業者性
労務供給者が、恒常的に自己の才覚で利得する機会を有し自らリスクを引き受けて事業を行う者と見られるか
さらに、補充的判断要素として、以下の事情がある場合に、各判断要素が肯定的に解されるものと考えます。
また、以下のような事情があり、顕著な事業者性が認められる場合は、判断要素の総合判断の結果として労働者性が消極的に解されるものと考えられます。
今後は、団体交渉の申し入れが広がることが考えられます。
by office-matsumoto | 2011-09-20