最低賃金 知っておきたい7つのポイント
毎年、10月に最低賃金が改定されます。
今年は、東京都が 821円→837円 、神奈川県が818円→836円と大幅に引き上げられました。
現在は、最低賃金で1ヶ月働いても生活保護費の金額に満たないという指摘があり、それを是正するために東京都、神奈川県などでは大幅な引上げがなされています。
今回は、『最低賃金 知っておきたい7つのポイント』についてお伝えします。
最低賃金・ポイント1
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づいて、国が賃金の最低限度を定めます。
そして、使用者はその最低賃金額以上の賃金を支払わなければいけません。
最低賃金・ポイント2
最低賃金には、地域別(都道府県別)、および特定(産業別)最低賃金が定められます。
地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合、50万円以下の罰金が科せられます。
※特定(産業別)最低賃金額違反の場合は、30万円以下の罰金
最低賃金・ポイント3
地域別最低賃金は、アルバイト、パート、一般正社員、契約社員等雇用名称を問わずすべての労働者に適用されます。
ただし、一般の労働者より著しく労働能力が低い等の場合には、「都道府県の労働局長の許可」を受けることを条件として最低賃金の減額の特例が認められています。
最低賃金・ポイント4
最低賃金は、事業所の存在する地域の最低賃金が適用されます。
例えば、本社が東京であっても、労働者の所属する事業所が千葉県であれば、千葉県の最低賃金が適用されます。
派遣労働者については、派遣先の最低賃金が適用されます。
派遣元(派遣会社)が東京であっても、千葉県の事業所に派遣されれば、千葉県の最低賃金が適用されます。
派遣先が、特定(産業別)最低賃金が適用されている場合は、特定(産業別)最低賃金が適用されます。
最低賃金・ポイント5
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。
具体的には、実際に支払われる賃金から以下の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。
- (1)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
- (2)1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- (3)時間外労働、休日労働、深夜労働に対して支払われる賃金
- (4)精皆勤手当、通勤手当、家族手当
※住宅手当は除外とされず、最低賃金の対象となります。
※割増計算する基礎となる賃金とは異なりますので、注意が必要です。
最低賃金・ポイント6
地域別最低賃金は、中央最低賃金審議会から示される引上げ額の目安を参考に、地方最低賃金審議会で審議し、都道府県労働局長が決定します。
特定最低賃金は、関係労使の申し出に基づき、地方最低賃金審議会が必要と認めた場合において、地方最低賃金審議会で審議し、都道府県労働局長が決定します。
地域別最低賃金は、①労働者の生計費、②労働者の賃金、③通常の事業の賃金支払い能力 を総合的に勘案して定めるものとされています。
最低賃金・ポイント7
最低賃金は時間額で定められています。
支払われる賃金が、最低賃金額以上になっているかどうかは以下の方法で比較します。
(1)時間給の場合
時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)
(2)日給の場合
(日給 ÷ 1日の所定労働時間) ≧ 最低賃金額(時間額)
(3)月給の場合
(月給 ÷ 1ヶ月平均所定労働時間) ≧ 最低賃金額(時間額)
※月給は、最低賃金の対象とならない賃金を除いた金額であること
※賃金が、日給と月給の組み合わせの場合は、それぞれを計算して時間額に換算します。そして、それぞれの時間額を合計した金額と最低賃金額と比較します。
※地域別最低賃金の詳細については【地域別最低賃金の全国一覧】(厚生労働省)を参照ください。
by office-matsumoto | 2011-10-10