オフィス松本:業務案内>トピックス

「盗撮・盗聴されている」と訴えた日本HP社員の諭旨退職処分が無効

日本ヒューレット・パッカード事件(H24.4.27 最高裁判決)

事件の概略

従業員が、事実として存在しない被害事実(盗聴・盗撮されている)を訴えて欠勤を続けたことに対し、会社が無断欠勤であるとして懲戒処分である諭旨退職を行ったことについて有効性が争われました。

最高裁は、精神科医による健康診断を実施し、必要であれば治療を勧めたうえで休職処分の検討し、経過を見るなどの対応を取るべきであるとしました。
また、本人が精神的不調に基づく被害妄想である意識がないのであれば、病気を理由に欠勤届の提出することは期待できない、従って「正当な理由のない欠勤に該当する」として無断欠勤として取り扱うのは相当でないとしました。

メンタルヘルス面で問題のある労働者が増加していますが、最高裁は使用者のとるべき措置として、次の対応を求めています。

  • (1)精神科医による健康診断を実施する
  • (2)診断結果に応じて、必要な治療を勧め、休職等の措置を行う
  • (3)その後との経過を見て対応を考える

精神的な不調が疑われるのであれば、本人だけでなく家族に知らせることも必要であったと言えます。また、精神的な不調がなかったのならば、欠勤を長期間続ければ無断欠勤となり懲戒処分の対象になることを本人に告げる必要があるでしょう。

by office-matsumoto | 2012-06-02

お気軽にお電話ください(初回無料・受付10:00〜19:00)