オフィス松本:業務案内>トピックス

健康保険の給付範囲が見直されます

本年5月に公布された「健康保険法等の一部を改正する法律(平成25年法律第26号)」に、「健康保険の給付範囲の改正」が盛り込まれていました。
これは、健康保険の給付と労災保険の給付の適用関係の整理するものですが、その改正規定が、本年10月1日から施行されます。
どのような改正なのか、概要を紹介します。

健康保険の給付範囲の改正のイメージ

健康保険に加入している方の負傷等(負傷、疾病、死亡)

改正前:業務について健康保険の給付を行う。(*1)

改正後:労災保険から給付がある業務災害以外の場合について健康保険の給付を行う。(*2)

(*1)改正前は、業務上であるか、業務外であるかで判断
(業務上の場合は、労災保険から給付があるか否かを問わず、健康保険の給付は行わない)。
〈補足〉健康保険法では、業務とは「職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業」と幅広く取り扱っており、例えば、副業で行った請負の業務で負傷した場合なども、健康保険法では「業務上」と判断していた。
その結果、労災保険からも健康保険からも給付がなされない事態が生じることがあった。

(*2)改正後は、健康保険法における業務上・外の区分を廃止し、労災保険から給付がある業務災害であるか否かで判断(労災保険から給付がない場合は、健康保険から給付)。

注.役員としての業務に対する保険給付については、次のような特例がある!
役員(法人の取締役等)としての業務に起因する負傷等については、現行の通達における取扱いと同様に、小規模な適用事業所(被保険者数5人未満)に所属する法人の代表者等であって、一般の従業員と著しく異ならないような労務に従事している者を除き、健康保険から給付を行わない。

この改正のポイントを挙げると次のとおりです。

① 副業で行った請負の業務で負傷した場合(シルバー人材センターの会員の請負契約による就業中の負傷等)やインターンシップで負傷した場合等には、労災保険からも健康保険からも給付が行われないことがあったが、これが改善され、労働者性がない等の理由で労災保険から給付が行われない場合には、健康保険から給付が行われることになった。

② ただし、法人の取締役などの役員としての業務に起因する負傷等については、極めて小規模な法人における場合を除き、労災保険からの給付の有無を問わず、健康保険からの給付は行われない(そのことを、法律に明記)。

法人の取締役などの役員の身分にある方は、健康保険に加入しているからといって油断はできません。
事業規模によりますが、その業務中に負傷等しても、給付が一切行われないという事態が生じる可能性があります。
そのような事態を避けるため、労災保険に特別加入することが推奨されています。

今回の改正内容や、労災保険への特別加入のことで相談があれば、気軽にお声かけください。

by office-matsumoto | 2013-10-05

お気軽にお電話ください(初回無料・受付10:00〜19:00)