精神障害の労災請求件数が過去最多
厚生労働省は、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況について、年1回、「労災請求件数」や「支給決定件数(「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した件数)」などを取りまとめて公表しています。
本年6月27日、平成25年度の「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」が公表されましたので、その概要を紹介します。
平成25年度の「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」の概要
1.脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
【請求件数】784件(前年度比 58件の減)・・・2年連続で減少
【支給決定件数】306件(前年度比 32件の減)・・・3年ぶりに減少
※業種別の請求件数
→「運輸業,郵便業」182件、「建設業」122件、「卸売業,小売業」110件の順に多い。
※職種別の請求件数
→「輸送・機械運転従事者」170件、「専門的・技術的職業従事者」101件、「サービス職業従事者」82件の順に多い。
2.精神障害に関する事案の労災補償状況
【請求件数】1,409件(前年度比 152件の増)・・・過去最多
【支給決定件数】436件(前年度比 39件の減)・・・4年ぶりに減少
※業種別の請求件数
→「製造業」249件、「医療,福祉」219件、「卸売業,小売業」199件の順に多い。
※職種別の請求件数
→「事務従事者」350件、「専門的・技術的職業従事者」307件、「サービス職業従事者」176件の順に多い。
※支給決定件数を出来事別(原因別)にみた場合
→「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」と「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」がそれぞれ55件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」 49件の順に多い。
職種別に請求件数をみると、精神障害に関する事案では、「事務従事者」が最も多くなっています。
また、脳・心臓疾患に関する事案、精神障害に関する事案とも、「専門的・技術的職業従事者」、「サービス職業従事者」が上位に入っています。
社員の心身に悪影響を及ぼすストレスは、どこに潜んでいるか分かりませんね。
重要なのは、ストレスの芽を摘むことだといえます。
仕事内容・仕事量(労働条件)に無理がないか、労働条件が法令に違反していないかなどについても気軽にご相談ください。
なお、労働安全衛生法の改正で、いわゆる「ストレスチェック制度」が創設されましたが、このような労災補償状況を改善することを狙ったものといえます。
by office-matsumoto | 2014-08-01