正しい36協定届(時間外・休日労働に関する協定届)とは
運送業における労基署の調査で、必ずと言ってよいほど指摘されるのが「違法な時間外労働」です。
違法と指摘されるのは次のケースです。
- (1)36協定届を作成していない・労基署に提出していない⇒時間外労働はできない
- (2)36協定届の従業員代表の選出過程が不適切⇒36協定そのものが無効となる可能性大
- (3)36協定届で締結している時間を超えて時間外労働が発生している⇒36協定違反
「36協定」のポイントは、従業員代表が、本当に「従業員の代表」として、従業員が延長することに「納得した時間」を締結しているかです。
例えば、従業員代表が、誰も知らないうちに決まる、また、従業員代表自身も代表だと知らないことがありますが、これでは従業員代表とは言えないでしょう。
選出方法に問題がある36協定は無効とみなされるので、正しいプロセスを経て従業員代表を選ぶことが重要です。
もし、従業員を一堂に集め代表を選出することが難しい場合は、「従業員代表を●●氏にする」文書を回覧し同意を得る方法を採用してはどうでしょうか。
また、36協定を事務所内に掲示すれば、従業員代表が誰なのか、延長できる時間についても周知することができます。
もうひとつ注意が必要なのは、内勤者(自動車の運転業務以外)ができる時間外労働の時間です。
内勤者ができる時間外労働は1ヶ月に45時間※です。
それを超えるときは、特別条項付36協定を締結します。
特別条項は、臨時的な特別の事情があるときに、1年の半分を超えない期間で45時間を超えて時間外労働ができます。
※ 1年単位の変形労働時間制 42時間
36協定の不備を是正するためのチェックリスト
●従業員代表の選出手続
- □管理監督者が従業員代表となっていない
- □従業員代表が民主的な方法で選出されている
(朝礼での挙手、回覧による同意の取付け等)- □誰が従業員代表なのか、周知されている
●36協定の記載内容
- □有効期間を記載して、期間が経過する都度、新たに締結している
- □自動車運転者は、改善基準告示を超えない範囲内の時間で締結している
- □延長できる時間外労働の時間が周知されている
●36協定の届出
- □事業場ごとに、36協定を届け出ている
- □有効期間が切れる前に、届け出ている
●労働時間管理
- □労働時間を把握(管理)している
- □労働時間が限度時間(特別条項)、改善基準を超えていない
by office-matsumoto | 2015-02-07