介護休業、介護休暇とは
近時の核家族化・少子高齢化により「介護離職」が問題となっています。会社は、従業員の家族が介護を要する状態になった場合に、従業員が仕事と介護を両立できるよう支援していく必要があります。
介護休業、介護休暇とは(育児・介護休業法)
労働者は、会社に申し出ることにより、家族を介護するため会社を休むことができます。ただし、「対象となる家族」や「介護の状態」、「申し出ることができる従業員」には制限があります。
対象となる家族 | 配偶者、父母および子、配偶者の父母、 同居かつ扶養している祖父母・兄弟姉妹・孫 |
介護の状態 | 負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、 2週間以上の期間にわたって、常時介護※1を必要とする状態 |
適用が除外される従業員 | 日々雇用される従業員、入社1年未満の従業員、有期契約社員(要件有)、労使協定により適用除外とした従業員 |
上記の条件を満たした場合に、対象家族一人につき、要介護状態に至るごと※2に通算93日まで、複数回にわけて介護休業を取得することができます。
介護休業期間中の賃金は、会社によって無給・有給が決められます。多くの会社では、無給になっており、その代り、雇用保険法から介護休業給付金を受給することができます。
また、介護休暇も平成21年に創設されています。
これは、年に5日(対象となる家族が2人以上の場合は10日)を限度として休暇を取得できます。これは介護休業と異なり、通院の付添など単発で取得する休暇です。
その他、働きながら介護をすることを容易にするため、会社には就労時間を短縮する、あるいは始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ等の措置を講じることが求められています。
介護は、育児とは異なり「いつまで続くか予想できない」ことも、介護者の精神的負担になります。
仕事と介護の両立には、自分の生活を守り、一人で抱え込まないことがポイントになります。
仕事と介護の両立ポイント
●要支援・要介護の家族がいることを職場に伝え、仕事と介護の両立支援制度を利用する。
●介護サービスを利用し、自分で「介護をしすぎない」。
●地域包括支援センターやケアマネジャーなど、専門家に何でも相談する。
●日頃から「家族と良好な関係」を築く。
●介護を深刻に捉えすぎずに、「自分のための時間を確保」する。
なお、介護支援に取り組む会社への支援として、平成28年4月に助成金が創設されています。
【介護支援取組助成金】・・以下の要件を満たすと1回60万円
①従業員の仕事と介護の両立に関する実態把握(社内アンケート)
②介護に直面する前の従業員への支援(社内研修の実施、リーフレットの配布)
③介護に直面した従業員への支援(相談窓口の設置及び周知)
※6月24日から、介護関係制度の設計・見直し、働き方改革の取組が支給要件に追加
※常時介護の状態とは、歩行、排せつ、食事等の日常生活の介助度,徘徊等の問題行動で判断します。
※要介護状態に至るごとにと言うのは、要介護状態が回復した後に、再び要介護状態になったときに2回目が取れるということです。
by office-matsumoto | 2016-08-03