おふぃま新聞 10月号
10月のおふぃま新聞は以下の内容でお送りします。
1.対象事業場の約半数で違法残業を確認〜令和元年度監督指導結果より
9月8日、厚生労働省は令和元年度の長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表しました。
働き方改革関連法による時間外労働の上限規制が令和元年4月1日より中小企業にも適用されたこと等もあってか、対象事業場数は平成30年度の29,097から約1割増の32,981で、そのうち15,593(47.3%。平成30年度は11,766(40.4%)で違法な時間外労働が確認され、指導が行われています。
2.ビデオ会議に関する意識調査
SB C&S株式会社(以下「SB C&S」)が、新型コロナウイルス感染症の拡大によりテレワークを導入する企業の急増に伴い、仕事でビデオ会議を利用する機会がある人を対象に「ビデオ会議に関する意識調査」を実施し、その結果を公表しました。
対面会議と比較して、ビデオ会議のほうが時間が短縮されると感じる人は約4割で、その短縮時間の平均は23.2分という結果が出ています。
社内会議ではビデオ会議のほうが効率的だと思っている人が半数以上を占め、社外会議で営業をする場合に関しては対面会議のほうが効率的だと思っている人が約7割を占めている結果も出ています。
3.9月から複数事業労働者向けの労災保険給付が始まりました
多様な働き方を選択する方やパート労働者等で複数就業している方が増えているなど、副業・兼業を取り巻く状況の変化を踏まえ、複数事業労働者の方が安心して働くことができるような環境を整備する観点から、労働者災害補償保険法が改正されました。
改正内容の一つとして、複数事業労働者の方への保険給付が、すべての働いている会社の賃金額を基礎に支払われるようになります(これまでは災害発生事業場での賃金額しか保険給付の基礎とされていませんでした)。
4.副業・兼業ガイドラインが改定されました
企業に広く兼業・副業を認めることを促すよう、現行の法令のもとでどういう事項に留意すべきかをまとめた厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(PDFが開きます)が、9月に改定されました。企業も労働者も安心して副業・兼業を行うことができるよう、さらなるルールの明確化を目的としています。
5.コロナと整理解雇
新型コロナについては、指定感染症からは外す方向で議論が進められるようです。しかし、すでに緊急事態宣言がなされてから痛手を負っている企業も多く、今後の景気回復も急激に良くなるとの予想はされていませんし、倒産や解雇の増加という波が時間差でやってくるとも予想されます。いくら「コロナだから。緊急事態だから」と言ってみても、裁判例上は、コロナによる業績の落込みは、天災地変等のやむを得ない事由ではなく、経営上の理由による解雇と扱われる場合がほとんどと思われます。
整理解雇の4要素の一つとして「解雇回避努力義務の実行」があります。整理解雇の実施にあたっては、可能な限り雇用を確保(解雇せざるを得ない場合でも労働者の負担をなるべく軽減)するべく、取れる方策を模索し、準備しておくべきです。
6.専門的知識活かし社会に貢献するプロボノワークとは?
業務などで培った専門的知識やスキルを無償提供する社会貢献活動のことをいいます。ラテン語のPro Bono Publicoの略で、「公共善のために」を意味しています。個人での活動や企業単位での展開など、形態は様々ですが、もともとは、アメリカやイギリスの法曹関係者の間で始まりました。プロボノはあくまでも無報酬であるという点で、副業や兼業とは異なります。また、業務などで培った専門的なスキルや経験を社会に役立てる点で、スキルやノウハウにかかわらずに社会的活動に貢献する一般的なボランティア活動とは区別されています。
コラム
今回は、2つの資料をご紹介します。
1.高齢者の特性に配慮したエイジフレンドリーな職場つくりのガイドライン(PDFが開きます)
高年齢労働者は、豊富な知識と経験、業務全体を把握した上での判断力と統率力を備えていますが、一方では加齢に伴う心身機能の低下が現れ労災災害の発生の要因となっています。高齢者が働きやすい職場環境作りをすすめましょう。
なお、職場環境の改善に要した費用の一部を助成する補助金があります。詳細は、弊所までお問合せください。
2.自動車運転者の働きやすい職場認証制度 簡易診断シート
2020年より始まった制度です。まずは「一つ星」を申請してはいかがでしょうか。
無料で申請要件を診断しますので弊所までお問い合わせください。
by office-matsumoto | 2020-10-01