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令和6年10月からの社会保険適用拡大の準備

1.社会保険適用拡大の概要

令和6年10月に、社会保険の適用拡大の特定適用事業所となります。適用事業所となる可能性のある事業所は、適用拡大に向けて対象となる従業員への説明等の準備を進めましょう。

特定適用事業所

特定適用事業所とは、現在、厚生年金保険の被保険者数が50人を超える事業所が対象となります。
この50人には、70歳以上で健康保険のみ加入している人、特定適用事業所となった場合に新たに加入することになる短時間労働者は含みません。
また、この50人という数字は、令和6年10月1日時点の被保険者数ではなく、過去12か月間のうち6か月以上の被保険者数で判断します。

一度、特定適用事業所に該当した場合は、従業員数が50人を超えなくなったとしても引き続き特定適用事業処置して取り扱われます。
この場合、厚生年金保険の被保険者数の3/4以上の同意を得て「特定適用事業書不該当届」を届け出ることで特定適用事業所に該当しなくなります。

対象となる被保険者

次の4つの要件をすべて満たしたパートタイマー等が社会保険の被保険者になります。

  • ①1週の所定労働時間が20時間以上であること
  • ②所定内賃金が月額8.8万円以上であること
  • ③学生でないこと
  • ④2か月を超える雇用の見込みがあること

社会保険に加入するか否かの判断は、原則として雇用契約に基づきます。しかし、週の労働時間数が20時間超、あるいは賃金が8.8万円以上となることが3か月以上続く場合は、3か月目の初日に被保険者の資格を取得することになります。

2.適用拡大までのスケジュール

令和6年9月以降、日本年金機構から特定適用事業所に該当する(可能性がある)事業所に、適用拡大のお知らせが送付されることになっています。
しかし、9月のお知らせを待っていては、新たに被保険者となるパートタイマー等やその家族が働き方を見直す時間が取れません。
したがって、早めに特定事業所に該当するか確認する必要があります。

該当する場合は、パートタイマー等を社会保険に加入させた場合の保険料等の負担を試算し、加入を積極的に推進するかどうか検討しましょう。
また、パートタイマー等の対象者が社会保険の加入に対し消極的な場合は、就労時間を制限する場合も考えられ、その場合は新たな人材を募集も検討しましょう。

対象者が加入する場合

特定適用事業所に該当した場合は、「特定適用事業所該当届出」を提出し、短時間労働者に該当したパートタイマー等について、「資格取得届」を提出します。また、従前に加入していた社会保険(国民健康保険、配偶者の社会保険)の喪失等の手続きも案内しましょう。

対象者が加入する社会保険は、「短時間労働者」の区分となります。短時間から週30時間以上の就労になった場合には、「一般被保険者」への区分変更を行います。

対象者が加入しない場合

就業調整をし、週20時間に満たない働き方となります。今まで雇用保険に加入していた場合は、原則として喪失となります。雇用保険喪失により受けられなくなる給付の説明を十分に説明しましょう。

3.活用を考えたい助成金

「年収の壁・支援強化パッケージ」のひとつに、キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)があります。これは、パートタイマー等を新たに社会保険に加入させる際に、本人負担分の社会保険料相当額の手当てを会社が支給、賃金UPを行う等の取組みにより、収入が減らないようにしたときに、パートタイマー等1人当たり最大50万円の助成金が事業主に支給されます。

この助成金は、取組みを行う前日までに「キャリアアップ計画書」を提出する必要がありますので、注意してください。なお、この助成金は、令和8年3月31日までの取組みが対象となります。

(1)手当等支給メニュー

要件

1人あたり助成額

①賃金の15%以上を追加支給(社会保険適用促進手当など)

1年目20万円(注)

②賃金の15%以上を追加支給(社会保険適用促進手当など)
3年目以降、③の取組

2年目20万円(注)

③賃金の18%以上を増額

3年目10万円

注意:1、2年目は取組から6ヶ月ごとに支給申請(1回あたり10万円支給)
◆社会保険適用促進手当…事業主が社会保険適用にともない手取り収入を減らさないよう手当を支給した場合は、本人負担分を保険料相当額を上限として社会保険料の算定対象としません。

(2)労働時間延長メニュー

週所定労働時間の延長

賃金の増額

1人あたり助成額

4時間以上

30万円

3時間以上4時間未満

5%以上

2時間以上3時間未満

10%以上

1時間以上2時間未満

15%以上

※助成額は中小企業の場合。大企業は3/4の額。
※(2)4時間未満の延長の場合は、併せて基本給の増額が必要。
※1年目に(1)①の取組による助成(20万円)を受けた後、2年目に(2)の取組による助成(30万円)を受けることも可能(併用メニュー)。
(上述の組み合わせの場合に限り、同一の対象者についてメニューをまたいだ助成を受けることができます)

(1)・(2)の本助成金については、2023年(令和5年)10月1日から2026年(令和8年)3月31日までの間に新たに社会保険の加入要件を満たし、適用されることとなった労働者が対象になります。

4.雇用保険も適用拡大

現在、雇用保険の加入要件は週20時間以上ですが、令和10年10月から、週10時間以上となります。

by office-matsumoto | 2024-07-03

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